第一章「なぜ変身ヒーローは最初から必殺技を使わないのか」

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「それでね。今日うちのクラスに転校生が来たの!」 「ああ、うん。それはさっき聞いたよ。わかったから。今日はもう帰ってよ」  僕はうちの玄関先まで押しかけてきたクラス委員長、天野心春にそう言った。 「もう。なに? その言い方は。私は委員長として、優くんのこと心配して来てあげてるのに」 「だから心配はいらないって。また近いうちにちゃんと学校行くからさ」 「そんなこと言って結局今日も来なかったじゃない」  不貞腐れたような表情を見せる心春。 「だから今はそんな気分じゃないんだって……」  僕はこの数日、学校に行ってない。まあプチ不登校ってやつだ。その理由については、またいつか。  けど僕だっていつまでも家に引きこもる気はない。そう遠くないうちにちゃんと学校に行くつもりだ。 「とにかく、僕は大丈夫だから。帰ってお願い」  僕はまだ何か言いたげな心春の言葉を遮るようにして玄関の扉を閉じる。  僕の家にようやく静寂が訪れる。僕はふうとため息を吐いた。 「まったく。なんで心春は毎日毎日……」  僕が学校に行かなくなってから、心春は毎日こうしてうちに押しかけてきている。家が近所だからって、なんでそんなことをするんだろう。どうせ委員長としていい子ぶりたいだけなんだろうけど。心春ってそういう堅物というか、外面を気にしすぎる帰来があるからね。  まあいいや。心春の思考なんて、どうでも。  それより今日は両親ともに帰宅が遅いと聞いている。僕が夕飯の準備をしなくちゃいけない。冷蔵庫にはもうほとんど食材がなかったはずだから、とりあえずスーパーに買い物に行かないとね。  僕は靴を履いて小ぶりな一軒家を飛び出して、僕は自転車で夕暮れの町を走り、近所のスーパーマーケットへと向かう。  カゴを乗せたカートを押しながら、僕はスーパーの中を歩き回り夕食のメニューを考える。
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