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「馬鹿野郎。そんな小声で変身できるわけねえだろ。もっと大声で叫べ!」
「へ、変身」
「小さい! もっと全力で!」
「変身っ!」
「腹から声出せ!」
「変身っっ!」
僕は声を枯らさんとばかりに、力いっぱい大声で叫ぶ。
いくらなんでも恥ずかしすぎる。こんなの知り合いに見られたら自殺もんだよ。
直後、僕の周りを眩い光が包み始める。光の中で僕の着ていた衣服は消えてなくなり、代わりに手足と胴体に光がまとわりつき、その光がぱちんとはじけると、僕の体の周りには別の衣服が現れる。手にはフリルのついた手袋。服は短いワンピースのようになっており、ウェストのあたりがきゅっとしまっていた。裾のところにフリルがついていて、さらにその下にはふわっふわのスカート。靴は安物のスニーカーではなく、水色のブーツに、白いハイソックスが太ももまで伸びている。そして僕の手の中には、水色のステッキ。
最後に頭に光が集まり、すらりと僕の髪の毛が伸びた。
僕の周囲を包んでいた光が収まる。
そして。
「よし、変身完了だ!」
「よし! じゃないよ! なにこのロリータというかフェミニンというかガーリッシュな恰好!?」
しかも肩が出ていたり、スカートが短かったりで微妙にいやらしい。
「決まってるだろ。魔法少女だぞ?」
「聞いてないよ。魔法少女になるなんて! 僕男だよ!?」
「は……?」
ルークは僕の言葉に、あんぐりと口を開ける。
「いや、お前冗談はよせ。お前、女だろ?」
「男だよ! 確かに顔も声も体格もアレだけど……。僕は紛れもなく男なんだって!」
それを聞いて、ルークは「ふー」と息を吐き出して。
「まあ、仕方ない。お前に一番似合う恰好がそれだったって話だ。女々しいお前には似合ってるだろ」
「似合ってないよ。今すぐもっとまともな服にして!」
「そのことなんだが……。わりぃ。もう変更できねえんだ。もうその恰好でいくしかねえ」
「そんな……。いや、それはいくらなんでもおかしいでしょ!」
「あの子を助けたくねえのか? はっきり言って怪人には警察じゃ歯が立たねえぞ? 助けられるのはお前だけだ」
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