第一章「なぜ変身ヒーローは最初から必殺技を使わないのか」

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「うっ……」  梶原さんのことを持ち出されたら、僕としても引き下がれない。  いや、けどこの格好で行くのは恥ずかしすぎるし……。  けど仕方ない。梶原さんを放ってはおけない。  ええい! 行くしかない! 「ルーク、どうやって突入すればいいの?」 「どうやってって、普通に警察かき分けて入るしかねえだろ」 「えー……。魔法少女なのに?」  ふつうワープだったり壁を抜けれたりする能力があるもんじゃないの? こういうのって。  とはいえないんだから仕方ない。僕の姿を見て驚嘆する人込みをかき分けて、僕は店の中へと足を進める。 「君! 危ないよ! 入るのはやめなさい!」  警察の人に腕をつかまれて止められる。そりゃそうだよね。こんな変な格好した人が事件現場に入っていこうとしてるんだからそりゃ止めるよね。 「おい。何してんだ。さっさと振り払って突入しろ」 「やっぱりそうしなきゃだめ?」 「あったりめーだろ。他に方法はねえ!」  だよね。  僕は警官の腕を振りほどき、虎柄のテープの下を潜り抜けてスーパーの中に入る。
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