門出

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「これ、アラステア」 そう言って息子をすかさず嗜めたのは父のバーソロミュー侯爵だ。白髪をすっきりとまとめ上げ、ゆったりとした口髭は威厳を感じさせる。 彼は貴族院の議長を務めており、その中での横の繋がりが強かったためこの舞踏会には多くの貴族たちが集まった。 「お前のための舞踏会なのだぞ。もっと楽しそうにしないか。ああ、それと、アウゼン侯爵とリヴァー伯爵には笑顔で挨拶を忘れるな。議会の古株だ。きっとお前も世話になる日が来る」 「分かりました、父上」 アラステアはきゆっと口をきつく結び、胸を張った。 そうだ、私も今日で大人の仲間入りなのだ。 もう守られてばかりの子供ではいられない。 ギルマーティー家の名にに恥じない振る舞いをしなければ。
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