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「こんばんは、アラステア様。ご成人おめでとうございます」
声を掛けてきたのはアウゼン侯爵とその夫人だった。
アウゼン侯爵は父と親しく、しわのよった目元に人の良さそうな笑顔を浮かべている。
アラステアははにかみながら、できる限り愛想の良い笑顔を浮かべようと意識した。
「いえ、こちらこそ来てくださって光栄です」
「いやあ、アウゼン殿お久しぶりで」
バーソロミューはアウゼン侯と軽い抱擁を交わした。
「まあ、なんと立派にご成長されて…お美しくなられたことでしょう!」
小柄な夫人はアラステアを目を輝かせて見上げながら言った。と、同時にふわりと香ってくるきつい香水の香りに一瞬顔を背けそうになる。
「是非娘を紹介したいわ。ローレンシア、ちょっとこちらへいらっしゃい」
名前を呼ばれて娘たちの輪の中からローレンシアが出てきた。
顔を赤らめながらアラステアの前に来て、軽くお辞儀をする。
「こ、こんばんは…アラステア様、お目にかかれて光栄です」
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