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「あなた、もしかして番人さん、ですか?」
断れない雰囲気のまま調理実習室に行き、勅使河原のぞみを呼び出すとそんな返事がきた。「番人」とかいう奇妙なあだ名はこんな女子にまで浸透しているのか。
「……まあ」
「すごい……司書さんが、たくさん本を読んでる人がいるって……」
認めたくはないけど否定もできまい。勅使河原は「すごい」と呟き、視線を上げようとしては逸らしている。挙動不審だが、よくいる内気な女子のようだ。
「あの、オススメの本って、ありますか?」
「え」
何を突然。内気な女子だと認識したばかりなのに、初対面に近い男にそんなこと聞くか?
大義名分を見つけたいのか、勅使河原はあたふたと言葉を付け足す。
「私、本読むのが好きで、でも自分じゃ読みたい本を見つけられなくて……片っ端から読んでたんです。だからその、たくさん本を読んでる人からオススメの本を聞けば、もっといろんな本を読めるかなって……」
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