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「呼び出し?」
誰から。隣のクラスに仲のいい友達はいるが、そいつはメールで用件を済ませる男だ。こうやって呼び出し足りはしない。ならば誰が。
取り次ぎのクラスメイトが呼んだ名は、予想外のものだった。
「女子。テシガハラって言ってる」
「……勅使河原?」
知らない名前ではなかった。でも親しいわけでもなかった。
勅使河原のぞみ……確か、隣のクラスだった気がする。
彼女との接点を語るのはややめんどくさい。特別仲良くもないし無関係でもない。無下に扱うことはしないけど過干渉もしない。でも……普通の女子よりかは知っている。適度に仲良くさせてもらっている女子だった。
面倒だったのは、取り次ぎのクラスメイトが「そういう関係」を期待する声色でちょっかいを出したことだ。
「なんだよ環、告白か?」
「うるせえ」
高校男子の冷やかしには目を瞑り、俺はドアの前に立つ少女のもとへと向かう。
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