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俺の個人的所感は置いといて、図書カードに手を伸ばす。書庫に申し訳程度に置かれた小ぢんまりとした木製テーブルで作業する。テーブルは古びてところどころ削れていた。
でこぼこのテーブルの上で黙々とカードとにらめっこをする。カードの大半は真っ白だから、冊数を数える対象はそもそも少なかった。一学年三百人近くいるというのに、俺が数えたのは一年生だけで三十人程度。一冊、二冊のカードもあるから、実際には楽すぎる作業だ。
「……なんだ、この名前」
勅使河原のぞみ――その名前に出会ったのは、それが最初だ。二年生の多読賞。しかもダントツで。一ヶ月間という期間で図書カードは裏側までびっしりと本のタイトルが並んでいる。俺と同じか、それ以上読んでいるかもしれない。
作業が終わり、俺はカウンターへと戻る。司書に報告をするついで、興味本位で尋ねてみた。
「この、勅使河原……って、何て読むんですか」
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