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ならば、その行き着く先は何だろう。MGS3は冷戦の物語、即ち「核」 の物語だ。
その有り様が、全世界に脅威として、言葉として伝播する物語。それ故に、この作品の冒頭で携帯「核兵器 」が炸裂する。それが世界に拡散する予兆として。
メタルギア・ソリッド4は━━シリーズとしての総決算は、その呪縛に対するひとつの解答だった。全ての過ちが閉ざされ、争いの中の区切りとして、只菅な夢幻━━けれど確かに存在する固体として━━を描き切る風景だ。
けれどしかし、忘れてはならない。いかな人間性の柔軟を備えているとて、文明の発展が翻り、その軛を断ち切るとて。
それでも、人間はやはり人間なのだと。つまりは、その【情報の根元】に到達した物語こそ、MGSVなのだと。
『世界はひとつになる。その為の戦争は平和である』この中のヴィランが宣言することば。そして戦争の本質に在るものが、“報復”と“憎悪”にある「ことば」だということ。更にはそれが、外部化され得るということすら━━声帯虫という“ことば”を媒介する寄生虫により━━成し遂げてしまえる、ということ。
かつて押井守が語った事柄、「記憶」の外部化による脅威と破綻を、取りもなおさず小島秀夫は物語る。「イノセンス」より十数年後の、ゼロ年代を跨いだ世界として。
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