はじまりの街

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 たろすけは『はじまりの街』についた。  ワルキューレはすぐに見つかった。  宿屋から出てきたと思ったら、次の建物を目指してワルキューレは歩いていく。  たろすけは街の入口にじっと立っていて動かない。 「声、かけないんですか?」  と、王子。 「いや、その、ほら、何かきっかけがないと、話しかけずらいというか」  たろすけは人見知りだった。 「普通に『さっきは助けてくれてありがとう』で良いじゃないですか」  王子はため息をついた。  が、たろすけはワルキューレを見ているだけだった。 「おーい、ワルキューレー!」  結局、王子が声をかけた。  ワルキューレが気づいてやってくる。 「ええっと、キミはさっきの?」  ワルキューレはやさしそうな黒い目で、たろすけを見下ろした。  ワルキューレはけっこう背が高い。  対して、たろすけは身長が伸び悩んでいる。
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