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「おお たろすけ よ。しんでしまうとは なさけない」
と、女性の声が機械的に言う。
あたりは暗く、声の主の姿が見えない。
「死にたくて死んだんじゃねーよ。つーか、誰だよテメー」
たろすけが言い返す。
が、少年のあどけない黒い目でにらみつけても、迫力はなかった。
暗い空間にたくさんの星がまたたく。
宇宙だ。
たろすけは、よれたTシャツにジャージという、宇宙空間に存在するには不適切な姿だった。
「私はイシター。神です。あなたが死んだのは私のミスです、ごめんなさい」
と、再び女性の声。
先ほどの機械的な話し方から、若干トーンが柔らかくなった。
「いいよ、許す」
と、たろすけはぼさぼさの黒い髪をかき上げた。
この仕草、ただしイケメンに限る。
「その代わり、今すぐオレを生き返らせてくれ。神なら楽勝だろ?」
いたってフツメンのたろすけは声の主を探してあたりを見回した。
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