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2月14日。
男子はみんなそわそわする。
女子もみんなそわそわする。
俺はそれがなぜだか知っていた。
その日は気になる異性にチョコレートをあげる日だからだ。
校則が厳しいことで有名な私立高校に通う俺は、校門から下駄箱に向かうまでに何人もの浮ついた人たちを見てきた。
おい!山田!お前いつも前髪ぱっつんのメガネだっただろ!そのキラキラした目とガチガチの髪の毛はなんだ!
亀田!そのブレザーの下に来ているパーカーはどうした!いつも指定のセーターきてただろ!裏地ボアがあたたかそうだな!
何シークレット上履きを履いてるんだ木村!
10センチも厚底にしやがって!ヒール履き始めた中学生みたいになってるじゃねぇか!無茶しやがって!
変わり果ててしまった仲間達に毒を吐き続けた。
やってられない
今日は学校をさぼろう
そう思い立って下駄箱前で踵を返した。
その時、
「菅谷くん?」
そういったのは同じクラスのマドンナ川谷だった。
「おはよう!菅谷くん!遅刻しちゃうよ?」
顔もよし、頭もよし、運動もできる川谷女子は心配した顔で俺を見た。
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