真っ黄色の首輪

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僕は30歳を過ぎてもろくな恋愛経験がない。 何故か。 性的な欲望に疎いから。 なのに何時も、1人暮らしがひどくせつない。 僕以外に誰も僕の住みかの電気を点けない。僕以外に誰も冷蔵庫を開けない。僕以外に誰も声を発しない。 自由度数はパーフェクトだ。 けれど僕以外の誰も僕の人生を共有しない。 僕は今日も結婚相談所に行く。相談所のそとにたまにいる、真っ黄色の首輪をつけた猫はいるだろうか。 何故か結婚相談所が気になる。 もしも突如なくなっていても動揺しないと思う。いつも気にしてるから。だからなのか、それなのにというべきなのか、相談所のテナントが忽然ときえていても納得すると思う。 僕は結婚相談所の会員なのに、相談所のなかには入らない。相談所のあるフロアまでエレベーターで上ることさえなかったりする。ただ何か、そのビルが僕にヒントやひらめきをくれる気がするんだ。
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