親の心子知らず、子の心…

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それは、病院の写真。 奏太が生まれた日の、写真。 病院服に身を包み、赤ん坊を抱きかかえる、サトさんの…写真。 「……嘘だ。」 サトさんの傍には、…奏太がミーシャと呼んでいたお祖父さんが笑っている。 「…おじいちゃんと、…おばあちゃんが、…お父さんとお母さん…?」 「そうよ、…高齢出産だったの。 それでもサト姉さんは頑張ってあなたを産んだわ。産んだ後の体調もとても良かったわ、…でも。 …でも、ね…あの人たちはバカだから、こんな爺さん婆さんが親なんて嫌がるだろうなんて勝手に思い込んで、祖父母のフリをしていた。…ただそれだけなのよ。」 「……本当に、馬鹿じゃないの…。 そんな嘘のせいで僕がどれだけ苦しかったか……! お父さんお母さんって呼ばれなかったあんた達もどんだけ苦しかったんだよ…!実の親に僕は何もしてあげられなかったのかよ!!僕は大好きなあの人たちを恨み続けて生きてきたってことかよ!!」 パタパタと、奏太の涙が畳に滴る。 「……僕にはお父さんとお母さんが居ないのって散々聞いた時…あんた達はどんだけ苦しんでたんだよ。自分で自分たちの首絞めて、…本当の馬鹿じゃん…。」 道理で戸籍にも、他の名前がないわけだ。 奏太なんかほぼ見てなかったし、俺も見方がわからないしで、当てにならなかったけど。 「…僕が恨み続けてきた16年は…なんだったんだ…?」
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