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「あれ、鍵がない」
この物語の主人公の一人、高木さゆ。
大学を卒業してとりあえずフリーターになった女子の一人。
黒髪を低い位置でツインテールにし、カラフルなタイツにショートパンツ。
柄物Tシャツを着た今時の若者である。
メゾン・ド・トリコロールのエントランスで、彼女は腰から下げたサマンサタバサのバッグの中を引っ掻き回した。
バックは年季が入っているのか色落ちし、ピンク色が白に近い色になってしまっている。
おかしい。家を出る時確かにここに入れたのに…
そう考えながらバッグの内ポケットを探る。いつも彼女はそこに鍵を入れるようにしていた。
「変だなあ」
この時の彼女は、まだどこかにあるだろうと、気楽な気分でいた。
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