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少しドスの聞いた声でさゆをにらみつけていたのはこのマンションの二人目の住人、佐々木志摩子だったが、勿論二人は初対面でお互いの名前など知らない。
さゆと変わらない年齢に派手な化粧をしている。
どうみても夜の世界の人だ。
それなりの美人だが、その顔に声が合っていないので思わずびっくりしてさゆは彼女の顔を二度見してしまった。
「何ジロジロ見てんのよ。そこ通してくれるかな」
「あ、はい」
その迫力に押されるようにさゆは道を開ける。
階段をヒールの高い音を響かせて彼女が上って行ってしまうと、さゆは大きなため息をついた。
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