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「こわ。あんな人も住んでるんだ、このマンション」
さんざん迷った挙句、さゆは一階の喫茶店に入った。
カフェ・ルノーという変な名前のその店は、古臭い喫茶店であまり流行っていない。
マスターも陰気くさいし、客もまばらで中年のビジネスマンがよくひとりで来ている。
勿論さゆもいつも素通りしている。
「あのー」
だめでもともと、さゆは喫茶店の人に声をかけてみた。
「いらっしゃい。あれ、あんたこの上の人だよね?」
バイトらしい若い少年がトレイに皿を乗せた格好で笑顔で言った。
高校生くらいだろうか。可愛い顔をしている。
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