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何で自分のことを知ってるんだと彼の顔を見たが、毎日店の脇の通っていくのだから見られてチェックされていたのだろう。
「いえ、客で来たんじゃないんですけど」
申し訳なさそうな表情を作って奥のマスターにさゆは話しかける。
「どうしました?」
「あ、あの、実は家の鍵を無くしてしまって。
部屋に入れなくなってしまって。
大家さんの連絡先を知らないかなあって思って」
言いながら段々うつむいてしまった。
この店だってどうせ賃貸だろうが、大家と直接会っているのかどうか。
「ああ、知ってるよ。ちょっと待ってな」
意外や意外。怖い顔をしたマスターはあっさり電話を手に取った。
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