1章 

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彼女の身に何が起きたのかを知ったのは翌日のことだった。 サークルのメンバーで昼食をとっていたときのことだ。 「凛、最近学校来てないよね」 凛の友達の沙耶が唐突にそう言った。 「そう言えば全然見てないね。あたし火曜日の授業一緒だけど前期の最初以来ずっと見てないし」 「単位大丈夫かな?結構やばいんじゃない?」 他の女子も心配そうに言った。凛の奴、学校自体来ていなかったのか。 「でも俺、昨日凛に会ったぞ」 俺のその言葉に、凛と同じ研究室の萌香が反応した。 「それ、ほんとに昨日?どこで会ったの?」 「旧校舎の前あたりで。本館の方に向かってったな」 俺が何気なくそういうと、萌香は少し俯いて、食事の手を緩めた。 「そう・・・来たんだ、彼女・・・」 そうつぶやいて、萌香はまたパンに口をつけた。 昼食後、いつものように喫煙所に行こうとしたとき、おもむろに手を引っ張られた。 振り向くと、思いつめた表情で携帯を握りしめた萌香がいた。 「凛のことで話があるの。一緒に来て」 そう言って萌香は俺をサークルセンターの方へ連れていった。 「・・・凛、学校やめるかもしれない」 サークルセンター裏の駐輪場で唐突に萌香は言った。 「そんな・・・どうして急に?」 そう聞くと、萌香は携帯に指を走らせ、メールの履歴を見せた。 「彼氏にそう言われたからだって・・・」 萌香から携帯を受け取り、画面に視線を落とす。 そこには「死にたい」、「こわい」、「助けて」という言葉が乱立していた。 全部凛が送ったものだ。どれも底抜けに明るい彼女が言ったとは思えない言葉だった。 「昨日学校来たのは退学届を出すためだと思う・・・」 萌香はそう言うと俯いた。 「・・・彼氏に言われたって言ったよな」 俺がそう聞くと萌香はこくりと頷いた。 「付き合って一か月ぐらいからだと思う。凛が私に相談してきたの。・・・彼氏から暴力を受けているって」 萌香の言葉に頭が真っ白になった。
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