奇妙で素敵な地下世界へようこそ!

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その建物は小さなお城のような見た目をしていた。 何故だろうか、すごくワクワクする。 ようやくHOMEと呼ばれる所にたどり着いた。 道中色んな種族を見たけど、僕は一切驚かなかった。 何故だろう。 何故フラウィーだけ…? 「さ、お上がりなさいな。」 トリエルはHOMEの扉を開け、笑顔で僕に手を伸ばした。 僕は、これから何か起こるのか、この地下の世界に何があるのか、『想像』した。 部屋に入ると、トリエルに良く似た髭面の男性が座っていた。 「ああトリ、おかえり。」 「ただいま、アス。」 アス、と言うのがこの男性の名前だろうか? 「ん?トリ、その子は?」 アスと呼ばれた男性は僕の方を見た。 僕は反射的に、トリエルの後ろに隠れてしまった。 「ああ、紹介するわ。この子、RUINSの奥のお花畑に落ちて来たみたいなの。」 「そうだったのか。怖がらせてすまないね。」 そう言うと彼は申し訳なさそうな顔をした。 何故だろう。 この顔…、ひどく懐かしく感じる。 「私はアスゴア。よろしくね。」 彼、アスゴアは笑顔で握手を求めて来た。 僕は少し警戒しながら、手を差し出した。 「はは、怖がらなくても大丈夫だよ。君を傷付けたりしないからね。」 「ふふ、この子やっぱりまだモンスターに慣れてないみたいね。」 トリエルもアスゴアも楽しそうに僕を見ている。 モンスター? 聞いたことはあるけど、あれは漫画とかゲームの話じゃないのだろうか? 僕はトリエルに、モンスターとはどういう存在なのか、聞いてみた。 「そうね、この子にも知る権利があるわ。少し長くなるけど、良いかしら?」 僕はうん、と興味津々で頷いた。 「それじゃあ、私は一旦部屋に戻っているとしよう。あんまりその子を疲れさせてはいけないよ?」 「ええ、分かってるわ。」 そう言うとアスゴアは僕に手を振った。 僕は小さく手を振り返して、彼が部屋に戻るのを見送った。 「じゃあ、始めましょうか。」 僕は大きく頷いた。 トリエルは色んなことを僕に教えてくれた。 ここへ来た人間のこと。 モンスターのこと。 そして、人間とモンスターの歴史のこと。 中には難しい話もあったけど、トリエルが簡単な例えを出してくれたりして、フォローしてくれた。 それから、一番大事な話を聞いた。 それは、この地下世界が、まだ平和ではないこと。
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