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ここは…どこだろうか…
確か僕は山へ登って、それで…
ああ、穴から落ちちゃったんだ…
どこかから上へ登れないかな…
辺りを見回しても何もなかった。
あるのは僕の下敷きになっている、金色の小さなお花畑だけ。
暗くて殆ど見えないが、この場所から出る道があるみたいだ。
とりあえずそっちへ進んでみよう。
…あれ?
あそこに見えるのは、花?
さっきの部屋に咲いていた金色の花とおんなじ…?
いや、少し背が高い気がする。
「やぁ、僕フラウィー!」
その花は急にそう言った。
僕は驚きを隠せず、尻餅をついてしまった。
「そんなにビックリしなくても良いじゃないか。」
フラウィーと名乗った花は、そう言って口を尖らせた。
「まぁ、どっちでもいいか。」
そう言うとフラウィーは、この世の物とは思えない、恐ろしい笑みを浮かべた。
「き み は こ こ で 死 ぬ ん だ か ら 。」
辺りから何かおかしい音が聞こえる。
何なのかは分からない。
ただ、フラウィーが言っている事は、どうやら嘘では無いようだ。
「死ね。」
その時、僕の身体を温かい炎が包んだ。
次の瞬間、フラウィーは火の玉のようなものに焼かれてしまった。
焼かれたのだろうか?
フラウィーがいた場所には焼け跡すらない。
「なんて酷い魔物…。罪のない子供を殺そうとするなんて。」
その声が聞こえた先には人間ではない生き物が立っていた。
でも、僕はこの声を知っている…?
「あなた、大丈夫?怪我はない?」
僕は頷いた。
何故だろう、フラウィーにはビックリしてしまったのに。
この声の主には全く驚かない。
「良かった!」
その生き物は、嬉しそうに僕を見ている。
「私はトリエル。ここ、RUINSの…あー…、管理人みたいなものね!」
僕も自己紹介しようとしたが、何故か名前が思い出せない。
名前どころか、穴に落ちる前にどこで住んでいたのかも、思い出せない。
「ここで話すのも場所が悪いわね。私について来てもらえる?」
僕はまた頷いた。
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