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「じゃあ、行きましょうか!」
トリエルと名乗った女性は、笑顔で手を差し出した。
僕は何故か疑いもせず、トリエルの手を掴んだ。
この部屋から出ると、そこには不思議な光景が広がっていた。
少なくとも地上ではない事は確かだ。
ここも全てRUINSという所なんだろうか?
「ここにはね、色んなパズルが仕掛けられてるの。」
トリエルがそう言うと、床にあるスイッチをいくつか踏んだ。
すると不思議な事に、今まで閉まっていた扉が開いたのだ。
「パズルの中には危ないものもあるから、気をつけるのよ?」
そう言うと僕の頭にポンッと手を置いた。
「さぁ、先に行きましょう。」
僕は頷いて、静かにトリエルの手を握った。
そこにはたくさんの人間ではない種族がいた。
しかし、人間と同じようにここで暮らしているようだ。
「お、トリエル。また子供を連れて来たのか?」
声がした方には、魚のような肌をした女性がいた。
「また、ね。あれから何年経ったでしょうね…」
トリエルは懐かしむように上を見上げた。
「おう、ガキ!あたしはアンダインって言うんだ!よろしくな!」
そう言って、彼女は満面の笑みを浮かべた。
僕もよろしく、と返した。
「お、今回のガキはちゃんと挨拶するんだな。」
「あら、あの子も無口だったけど可愛げあったのよ?」
何の話だろうか。
前にあの穴に落ちた人が居たのだろうか?
僕は全くそんな話を聞いたことがない。
「あら、そうだわ。この子を早くHOMEに連れてってあげないと。」
「おっと、引き止めて悪かったな。じゃああたしはゴミ漁りにでも戻るとするよ。」
「あなたも程々にね?」
「分かったよ。じゃな!ガキ、また遊んでやるよ!」
アンダインは手を振ってくれた。
僕も手を振ってまたね、と返した。
「さてと、もうすぐよ。」
トリエルは笑顔で道の先にある建物を指差した。
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