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どうやら良くないことが起きるかもしれないらしい。
トリエルの息子、アズリエルがこの地下世界を治めているらしいのだが、その裏側で謀反を企んでいる団体があるようだ。
更に驚くことに、その団体のリーダーが、
…人間かもしれないと言うことだった。
この世界は自由で優しさに溢れているはずなのに、何故だろうか。
理由は分からないようだ。
何でも、その一団の犠牲となったモンスターもいるんだとか。
僕は、何故か謀反を企んでいるその団体に会ってみたいと思った。
トリエルにそう話すと、彼女は首を大きく横に振った。
「彼らはとてもじゃないけど話を聞くような人達ではないわ。あなたも犠牲者の一人になるかもしれないのよ?」
トリエルは悲しそうな顔をしてそう言い放った。
その声を聞いてか、アスゴアが自室から戻って来た。
「正義感に溢れるのはいい事だが、この件は私も止めざるを得ないな。」
アスゴアの顔は、少し強張っていた…気がする。
「確かに平和というものは誰かが問題を解決しなければ始まらない。今その問題に直面しているのは私の息子だ。アズリエルならきっと解決してくれる。」
アスゴアは誇らしげにそう言った。
「それに、アズリエルには心強い友達もいる。」
僕はその話を聞いているうちに、団体よりもアズリエルの方が気になった。
彼は優しくて強い。
それなら会ってみたい、と。
でも、それならばどの道RUINSから出なくてはならない。
僕は正直にそうアスゴアに伝えた。
しかし、彼も首を横に振った。
「外へ出るのは危険だ。今どこに彼らが潜んでいるのか分からない以上、君を一人でこのRUINSから出すわけにはいかないんだ。分かってくれないかい?」
僕は納得いかない顔をした。
アスゴアとトリエルは困った顔をしている。
「じゃああたしも付いて行ってやるよ!」
「アンダイン!?」
トリエルとアスゴアは声を揃えて言った。
「これでもあたしは元王国騎士団長だ。絶対にこいつに怪我はさせない。それなら良いだろ?」
トリエルは少し困ったように笑っている。
しかし、アスゴアはまだ納得していない。
「アンダイン。君が敵うのか分からない相手だ。それにもし、君が倒せる相手だったとして、この子を守る余裕があるのかどうか分からないだろう?」
アンダインは、言葉に詰まっている。
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