8人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、僕は自分自身の中に何か力があることに気がついた。
何故だろう?
分からない、分からないことだらけだ。
どうやら、僕には瞬間的にモノを作れる能力があるみたいだ。
その気付いたことを、言葉拙く、みんなに伝えた。
その証拠に、僕自身の手の中にフォークを創り出した。
「…力で戦えるのか?」
アスゴアは一切退こうとしない。
僕は少し気が引けたが、手の中に一本の剣を創り出した。
「…そうか。そういえば、あの子もナイフで立ち向かっていたな…。」
アスゴアは懐かしむように天井を見つめた。
前に落ちて来た子の事だろうか。
「君がそこまで行きたいのなら、…良いだろう。こっちへ付いて来なさい。」
そう言うとアスゴアは階段の方へと歩き出した。
アンダインとトリエルはというと…
何故か笑っている。
なんでだろう?
そんなに面白い話では無かったはず…。
とりあえず僕は、アスゴアの後を付いて行った。
どうやら着いたようだ。
その場所は、また、金色のお花畑があった。
「武器を構えなさい。」
アスゴアは淡々と言った。
僕は言われるがまま、小さな曲刀を創り出した。
それを見たアスゴアは、三又の槍を取り出した。
「私もこの世界の王だったものだ。今でもまだ、衰えてはいない。」
そしてアスゴアは、僕に向かって構えた。
「…私に一つでも傷を付けることが出来たなら、君を一人前と認めてあげよう。」
どこか笑っていたような気がした。
僕も手に持った曲刀を構える。
…なんでだろう。
こうやって構えるのは、初めてじゃない…ような気がする。
「行くぞ。」
アスゴアは無数の魔法を召喚した。
この感じは僕にも分かる。
手は抜かないようだ。
…でも僕は避けられる。
何故だ。
思い出せないことに何か関係があるのか?
しかし今は考えてはいられない。
アスゴアは無数の弾幕のように魔法を放ってくる。
僕はそれを躱しながら、少しづつ近寄る。
「凄いな。ここまで出来たのはアンダインとあの子だけだ。」
アスゴアはどこか楽しそうだ。
「だが、まだだ。」
次は槍の斬撃だ。
僕は曲刀を使いながら躱す。
そこだ、と一瞬の隙を突いてアスゴアを斬りつけた。
全くと言って良いほどビクともしない。
「…ハッハッハ!やるじゃないか!」
アスゴアは元気に笑った。
最初のコメントを投稿しよう!