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「よく出来ました。」
アスゴアは優しく微笑みながら、僕にそう言った。
「ここまで出来るなら、君は大丈夫だね。アンダインも付いている。もう、言うことなしだな。」
アスゴアは一人で納得している。
これで良かった…のかな?
それから、トリエル達が待っている部屋に戻った。
「今、戻ったよ。」
「あら、おかえりなさい!」
トリエルは満面の笑みで迎えてくれた。
「よっ!おかえ…ってえー!?」
アンダインはかなり驚いている。
「お、お前…アスゴアと戦ったんだよな!?」
うん、と頷いた。
アンダインは全て分かってたのかな?
「アスゴア!手を抜いたんだよな?そうだよな!?」
「私はいつも本気だよ。」
「そんな…、ありえねぇ…。傷ひとつないなんて…。」
アンダインは、僕を信じられないという目で見ている。
「この子は強いよ。何も心配いらないくらいにね。あの子も『決意』が強くて負けちゃったけど、この子も別の感情が強いみたいだ。」
「強かったわね、あの子。私も歯が立たなかったもの。」
トリエルも懐かしそうに微笑んでいる。
「そうか、そうだよな。やっぱり人間は分からないことばかりだ。」
アンダインもそういうと笑顔になった。
何故か僕も嬉しくなった。
「あら、あなたもあの子に似て良い笑顔ね。優しい笑顔。」
「そうだね。あの子もこんな顔だったね。私はその優しさに負けたんだけど。」
トリエルとアスゴアは見つめあって笑った。
やっぱりこの二人は夫婦なんだなぁ。
ふとそう思った。
「でも、今はさすがにあなたも疲れでるでしょう?今日は休みなさいな。あそこの部屋が空いてるの。自由に使って良いわ。」
トリエルは優しく僕にそう言った。
「じゃあ、あたしは明日に備えて特訓するとしよう!アスゴア!付き合ってくれ!」
「やれやれ、今日は中々ハードな日だね。」
そう言いながらも、アスゴアは楽しそうだ。
「ふふ、元気なのは良いことね。あ、そうそう。今パイを焼いてるところなの。出来たらあなたの部屋に持って言ってあげるわね。」
僕はやったぁ、と喜んだ。
トリエルも嬉しそうに微笑んでいる。
少し早い気もするけど、僕は今日は部屋で休むことにした。
ここの外のことを考えると、ワクワクしてくる。
僕は、『想像』で満たされた。
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