毒、ときどき蜜

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……あーあ。 なんでこんなふうになっちゃうんだろ。 最近お互い忙しくて、ほとんど一ヶ月ぶりに会えたっていうのに。 会うといつも、尚が私に毒を吐いて、私がそれに怒って無言になって、尚はそれを飄々と見ているだけど特にフォローもせず。 気まずい(と思ってるのは私だけかも)沈黙のまま時間だけが流れていって、という恒例のパターン。 今日もそうだ。 思えばもう三年も付き合っているし、これはもしかして、倦怠期ってやつだろうか。 尚は私のこと面倒くさいって思ってるのか。 いや、もう飽きちゃってるのかも。 考えているうちに気持ちが鬱々としてきて、どんどん顔が下向きになっていく。 だって、普通なら、彼女が不機嫌になったら、何かしら言ったりやったりして、なんとか機嫌をとろうとするものじゃない? なのに尚は、放置。いつもいつも放置。見てるだけ。 やっぱり、私のことなんかもう嫌いになっちゃったんだ……。 どん底にまで落ち込んだとき、ふいにあごをくすぐられて、私は驚きのあまり「ひゃっ?」と変な声をあげてしまった。 顔を上げると、細められた尚の目が間近にあった。 そして彼の手が伸びてきていて、私のあごの肉をたふたふと弄んでいる。 「ははっ、やっわらか。脂肪のかたまりって感じだな」 意気消沈している私の神経を逆撫でするかのような、その毒舌。 「……本気でダイエットしてやる! もう二度と二重あごなんて言わせないからね!」 怒りとともに言葉をぶつけると、尚がふふっと笑った。
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