第1章

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次の子と交代し、さきほどの更衣室に戻ると、店長は他の子のメイクをしていた。 こちらに気付いて手を止めて顔を向けた。 「どうだった?緊張しなかった?」 「初めは緊張してたんですけど、島田さんの催眠術にかけられてたみたいで、いつのまにか終わってました。」 「へー、島田マジックだね。」 「もう一回撮るから別の衣装に変えるようにって…。」 「そう、じゃこれに着替えといて。」 衣装を渡されてるとき、店長の体越しにメイク中の子の刺すような視線を感じて背筋が冷たくなった。 「あ、ありがとうございます。」 直ぐに目を反らし店長に会釈してスクリーンの陰に行った。 高村くんもさっきの女の子のような視線をいっぱい感じながら仕事をしているのだろう。 中学の頃の私だったら、怖くて辞めたくなったかもしれない。 私は翠川レイ 今は鋭い視線もかわせる。 暗示をかけるように心の中で呟いた。
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