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1週間後、今度は隼人が入院したと知らされた。
千咲のインフルエンザがうつったという。
インフルエンザって、入院するような病気なの?
ただの流患じゃないの?
子供の場合は重いのかな…
仕事が忙しい秋人の帰宅は毎日深夜だという。
今度は妹の千咲をあずかることになった。
会社からの帰り道
直人からの電話を切り、桃子は重い足取りで帰路へと向かっていた。
これなら残業していたほうがましだった。
暴れ回らない分、兄の隼人よりはましだったが
心を開かない癇癪持ちの千咲との夜を考えると…
駅の改札を出ようとした時、秋人の姿が見えた。
…よかった、仕事が早く終わって千咲を迎えにいくのか。
話しかけようと近づいたが
隣にいる影を見て、桃子は足が止まった。
桃子と同じぐらいか
それよりももっと若く見える女の子と腕を組み
楽しそうに歩いていた。
息子が病気で入院してるってのに、何やってんの?
娘を弟にあずけて、なにやってんの?
桃子は文句を言ってやりたい衝動に駆られたが
結局声をかけることはできず
そのまま直人と千咲の待つアパートへと帰ったのだった。
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