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「あすなろ学園という孤児院に行って男の子を一人引き取って来て欲しい。もう五才になっている筈だ。」
刑務所の面会室の分厚いアクリル硝子越しに村上幸次郎にそう言われた時、加奈子はまさに開いた口が塞がらない思いだった。
「こっ…子供って、貴方の子供なの」
「否、生物学的には俺の子供じゃない。しかし俺の子供としてお前が引き取りに行って来てくれ。手続きに必要な書類は全て用意してある。だから帰りに宅下げの窓口で受け取ってくれればいい」
「ちょっ!ちょっと待って、貴方の子供として私が引き取るってどういう事なの、大体、私は貴方の妻でもなんでもないのよ」
「だからその為の書類も俺の署名捺印を済ませて用意してある。後はお前が署名捺印をして役所に出してくれればいい。」
「えっ……そっ、それは何なの、じゃ、私は貴方と結婚するっていうこと?」
「そういう事になる。」
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