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悪人の巣窟の様な世界で生きて来た幸次郎にとって、田舎育ちの加奈子など「ちょろい」人間だった。
幸次郎は加奈子をいい様に利用した。
加奈子の名前で携帯電話を契約させたり、ローンを組ませたり、散々加奈子を利用して都合が悪くなったら連絡をして来なくなる。
加奈子は何度も何度も幸次郎に騙された。
しかし加奈子は飽きもせず、その度に幸次郎を赦して来た。
何度騙されても諦めない。
「嫌なの!誰がなんと言おうと嫌なの!あんたは、本当はそんな人間じゃない!」
幸次郎は大笑いをした。
「お前、まるであいつみたいだな。」
それから幸次郎は変わり始めた。
引越しをして住所を変え、住民登録をし、国民健康保険と国民年金に加入して運送会社で働き始めた。
加奈子は嬉しかった。それから毎週休みの日には、幸次郎のアパートに食べ物を買い込んで訪ねて行った。
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