郭公の雛

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そんな日々が半年ばかり続いた頃、勤務中加奈子の携帯電話に警察から電話が掛かって来た。 「村上幸次郎さんが逮捕されました。」 甘くなかった。 汚れた世界から足を洗うというのは並大抵の事ではなかった。 幸次郎は様々な裏社会の人間から裏切り者として追われる身になっていたのだ。 しかも幸次郎は大胆にも住民登録をして健康保険証や年金にまで加入している。 そんな幸次郎を裏社会の連中が探し出すのは容易だったに違いない。 幸次郎は巧妙に仕組まれた罠にハマり寝込みを襲われて麻薬を身体に入れられそして警察に通報をされた。 幸次郎は無実を主張して最後迄否認を続けた。 しかし前科のある幸次郎の言い分は裁判では認められず、逆に否認をしたと言う事で検事に睨まれ別な余罪まで捲られて幸次郎の罪は更に重くなった。 結局幸次郎は、実刑3年4ヶ月の判決を受けて刑務所に服役する事になる。
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