第3章 恋とは甘いのか苦いのか

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 それを合図に、大粒の涙が目から流れた。  徹さんは、心配そうに私の側へ駆け寄り優しく抱き締めた。  私は、泣いた。  人前で、初めて泣いたのだ。  彼の温もりは、心地良い。  彼が触れても、私は嫌ではない。  この涙は、何なのか。  彼の好意に応えられない事への苛立ちなのか、自分の感情を抑えることが出来なかったからなのか。  多分、色んな事が含まれている。  それでも、今は、この人の胸の中で、泣いていたいと思っていた。  
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