第3章 恋とは甘いのか苦いのか

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 徹さんは、何も言わずに私の背中を擦ったり、頭をポンポンと優しく叩いたりしていた。    しばらく経つと、涙と呼吸も落ち着き始めた。  そして、男性に抱き締められた経験が皆無な私。  冷静になると、自分がとても恥ずかしい状況下にあるのだと悟った。  とても、照れる。  徹さんの顔が、見れない。  自分が変な顔になっているのが、分かるからだ。  徹さんは、体を離しテーブルの上に用意していた、温かいおしぼりを私に手渡した。  「これで、目を押さえて下さい。少し、腫れが治まるかもしれません。」  「はい、ありがとうございます。」    おしぼりを当てると、温かい蒸気が目の周りを包み込み、とても気持ちが良かった。
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