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「爺さん!……否、神様!!此れならば確かに馬よりも速く走れる!!誠に感謝致す!」
すっかり元気になった男は、好好爺の手を取り礼を告げ、すぐさま颯爽と走り去った。
「ふぉっふぉっふぉ!そなたの望みが叶った時、またお主の前に現れるとしよう」
それだけ言うと好好爺、否、神様は姿を消した。
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とある戦場の一角にて。
「殿!急ぎ、この場をお離れ下さい!!……隣国の将が鉄砲隊を筆頭に率いて、夜襲に押し寄せております!」
先程の男が主君に逃げるよう伝えると周囲の者が皆ザワザワと騒ぎだす。
「な、何だと!?…… しかし!侍が敵に背を向け逃げる等…其のような恥ずべき事が出来ようか!?」
「ですが!殿のお命が最優先で御座います!」
「解っておる!!だが、しかしっ!!」
── 殿様、意地はってないでさっさと逃げればよいものを ……。
「ならば!……ならば、せめて此れを!」
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