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会議を終えて、ホワイトデーの男性が作るお返しのお菓子製品の売り上げも順調で会長はご機嫌だった。
会長が、「今日は久しぶりに家族で食事をする」と言い出すまでは、真樹も機嫌が良かった。
『佐山くんも来たまえ』
会長は厳つい顔を綻ばせて言う。
『ご家族の集まりに私が出席というのは・・・』
花南は、真樹と婚約したとはいえ、“会長の命令”で結婚することには納得がいかなかった。
『君は、もう家族も同然だ。章介の妻になるのだからな』
真樹は苦虫を潰した様な表情になりそうなのを堪えながら、「君にも是非来て欲しい」と花南に言った。
花南は、真樹が今夜自分のアパートに来るのを内心喜んではいたが、モヤモヤとした気持ちもあった。
彼の“本心”を確かめた方が良いかもしれない。
『わかりました』
花南は、真樹と会長に向かって話した。
真樹は、少し安堵の表情を浮かべた。
会長を見送り、社長室に戻ると花南に「すまないな」と章介は謝った。
『ご家族での食事に関してですか?』
『それもあるが・・・今夜の“予定”がな』
真樹は熱い眼差しを向けながら、会議の前の社長室での濃厚なキスを思いださせた。
互いに身体が疼き、喉が乾き始めた。
『ご用がありましたら、お呼びください』
花南は出来るだけ平静を保ち、社長室を出ていった。
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