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恵理南は、社長である真樹章介との縁談が決まってしまい、日取りまで決められそうになっていると花南に話した。
『じゃあ、また入れ替わって私が結婚すればいいじゃん!』
『えっ?!』
恵理南は驚きの声を挙げた。
『恵理南は、その真樹社長との結婚が嫌なら、私がするし』
『で、でも・・・』
『もともとは、“私”が秘書である訳だし』
恵理南は、今まで想いに秘めていた男性は、花南を選んでいった。
「君ってなんかさ・・・ほら・・・」
言葉を濁して、去って行く。
何度経験した事か。
あの苦汁をまた経験するのかと思うと、胃の中がぎゅうっと締めつけられた。
『私は、社長と結婚したくない訳じゃなくて・・・』
『結婚するのは、恵理南じゃなくて花南である私でしょ!!』
花南の訳のわからない自己主張が始まると、もうおさまりがきかなくなる。
『明日からは、私がうまくやるから、恵理南は会社に行かなくていいから』
恵理南は、真樹と花南がキスをしたりするのかと思うと途方に暮れ、その晩、部屋で声を殺して泣いた。
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