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・・・・・・結果からいうと、陽子さんの父親は、同じような夢は見ていなかった。
けれど、陽子さんの母親とは違い、僕らの話を驚く程素直に信じてくれた。
当事者の僕らですら、半信半疑の仮説を、どうして信じてくれたのかは分からない。
訊いても答えてくれない気がしたし、今の僕らにはそれより大事なことがあるから。
「おはよ、陽子さん」
「もう、いい加減さん付けはやめてよ、真人」
夢の話をした後から、僕らは同棲している。
一度は骨と皮だけしかないのでは、という所までやつれていた陽子さ・・・・・・陽子の身体の調子も問題なく、成人式にも2人で出席した。
あの夢が、誰かからの警告だったのか、そうでないのか。
そんなことを考えるよりも、今ある幸せをしっかり噛み締め、大切に守っていきたい。
そう思いながら、僕は他人行儀っぽくてさん付けは嫌だとむくれる陽子さんを、必死に宥めるのだった。
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