続く物語

4/4
前へ
/12ページ
次へ
・・・・・・結果からいうと、陽子さんの父親は、同じような夢は見ていなかった。 けれど、陽子さんの母親とは違い、僕らの話を驚く程素直に信じてくれた。 当事者の僕らですら、半信半疑の仮説を、どうして信じてくれたのかは分からない。 訊いても答えてくれない気がしたし、今の僕らにはそれより大事なことがあるから。 「おはよ、陽子さん」 「もう、いい加減さん付けはやめてよ、真人」 夢の話をした後から、僕らは同棲している。 一度は骨と皮だけしかないのでは、という所までやつれていた陽子さ・・・・・・陽子の身体の調子も問題なく、成人式にも2人で出席した。 あの夢が、誰かからの警告だったのか、そうでないのか。 そんなことを考えるよりも、今ある幸せをしっかり噛み締め、大切に守っていきたい。 そう思いながら、僕は他人行儀っぽくてさん付けは嫌だとむくれる陽子さんを、必死に宥めるのだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加