第1章 2013年4月

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水曜日の夜、 週刊真実の記者、 越智矢一郎とカメラマンの奈津子は 週刊真実3週連続の完売を祝して乾杯した。 ささやかな二人だけのご苦労さん会。 ビールを飲み干し冷酒を頼んだ越智矢は 思い出話を語り始めた。 「君がうちに入った頃の売れ行きは最悪だった。 あれから3年、 週刊真実が今日まで続くとは、 誰も思っていなかった」 奈津子は頷ずいて言った。 「今でもはっきり覚えてます。 2013年4月。 それは私が入社して初めての編集会議でした。 日銀が放ったバズーカ砲を巡り、 上草秀子記者と高橋洋子記者が罵り合ったんです。 その時、 上草秀子記者は手鏡を握りしめて言いました。
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