第1章 2013年4月

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『金融緩和でインフレなんて邪道よ! こんなデタラメ続けたら、 円の信用が失墜するわ!』 高橋洋子記者も負けてはいませんでした。 隣の編集長の高級腕時計を奪い取って言ったんです。 『金融緩和こそインフレのための正攻法よ! インフレで円安になって景気回復だわ!』 私、 あの時は本当にびっくりしました」 越智矢は苦笑いしながら応えた。 「二人とも、 興奮したときに出る、 いつもの癖だ。 あの日の編集会議は週刊真実の存亡がかかっていた。 日銀の金融緩和路線を支持するのか、 それとも批判に回るのか。 これ以上発行部数を落とせば 廃刊だ。 編集方針の判断ミスは許されない、
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