第2章 2009年4月

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水曜日の夜、 先島アヤは久しぶりに渋谷に寄った。 路地裏地下の居酒屋、 かざぐるま。 初めてこの店の暖簾をくぐったのは大学生の時。 「どうかなすったかい、 アヤさん?」 幾度か通ううち、 マスターに名前も憶えてもらった。 いつの間にかその店では メガネをはずすようになっていた。 「今日は、 少し疲れたの。 焼酎がいいわ」 確かにそのようだ。 その声はいつも以上にハスキーだった。 熱い芋焼酎を手に、 アヤは一人物思いにふけった。 (あれからもう7年・・・) 卒業したばかりの2009年4月は氷河期だった。
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