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シャワーを浴び終え男は元の背広姿に戻った。
ソファーで週刊真実に読みふける女は
プレイ・コスチュームのままだった。
メガネ中央部に埋め込まれたダイヤが輝く。
銀座の高級クラブで知り合って以来、
もう何年にもなるというのに、
男は未だ女の素顔を見たことが無い。
「男って、
どいつもこいつも粉飾まみれね」
女はそう吐き捨て週刊真実を放り投げた。
「何のことだ?」
ギョッとして問い返す男。
「その週刊誌の記事よ。
芝浦電設社長、
四ツ菱自転車社長、
おまけに東京都知事なんて、
これで二人連続。
でも、
そんな事よりさ、
なんでアンタは私に
あんな落書きを紙に書いて窓から捨てさせたり、
メモして落とさせたり、
おまけに八丈島にまで行かせて
宿の<想い出ノート>に書かせたりしたのさ?
しかも妙なセリフ喋らせて録音までして?」
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