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「ご馳走様」
2度目のシャッター音。
その時、
アヤの真紅のメガネが不意にずり落ちた。
息を呑む美貌。
(・・・大丈夫。
誰にも見られては、
ない)
アヤは何事も無かったかのようにメガネを元の位置に戻し、
そして静かにその場を立ち去った。
捨てられた男は首をうなだれ何かを呟いた。
★★★★★
ここは神田、
神保町。
水曜日の夜。
越智矢と奈津子はいつもの居酒屋に立ち寄った。
「いい絵が撮れた。
週刊誌は表紙が勝負。
今日は俺のおごりだ」
「有難うございます。
でも女の素顔は逃しました」
「また次がある。
とにかく、
3週連続の完売に乾杯!」
「カンバイにカンパイ!」
ジョッキを一気に飲み干した越智矢は満足げに
今週号の表紙に見入った。
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