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「これで今日の仕事はおしまいだ」
終電の清掃を終え制帽をぬいだ赤石は、
額の汗をタオルでぬぐった。
5月からは、
責任者自ら清掃に励むと決めていた。
ロッカーの扉を開き、
ほうきを架けた。
「一息つこう」
その時、
ほうきの先に隠れていた小さなメモ用紙が
ヒラリと足元に舞い落ちた。
「何だろう?」
拾い上げる。
小さな文字で書かれてあった。
「誰か助けて!」
顔をしかめる。
「痴漢被害?」
今年は減少傾向にあった電車内の痴漢事件だが、
5月になってまた増えてきたのだろうか。
しかし、
今週の保安連絡会でもそのような報告は受けてない。
「もしかすると、
これは何か別の事件かもしれない。
一応、
このメモは交番に届けよう」
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