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今年の5月、
日本中で同時多発したこの怪事件。
犯人はおろか、
被害者すら特定できぬまま、
6月に入り、
それはピタリと鳴りを潜めた。
記者会見の場。
全国から集められた100万の紙とノートが入った
山積みのダンボールを前に、
公安の鬼、
那須刑事部長は
悔しそうに発表した。
「犯人は一体誰なのか皆目検討もつきません。
この私としたことが、
よもや迷宮入りとは、
残念です」
★★★★★
クリエイターの登竜門、
投稿サイト・エスタブリ。
5月の懸賞小説、
お題は「誰か、
助けて!」
チャレンジャーは全国で百万とも二百万とも言われるが、
その多くが2行目に筆が入らない。
妄想をめぐらし悶絶の果て、
筆を折り、
紙を破り捨てる。
そんなことも知らない那須刑事部長は、
まだまだ未熟だ。
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