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秋の紅葉シーズン。
リーナはキイズの本宅で遅めの朝食を食べながら、新聞を読んでいる。といっても、書いてある内容すべて理解できるわけではないけど。
茶緒の婚約者、カーシェルの事件についての記事。
キイズの本宅に突然、カーシェルが訪ねてきて、ミヤたちに連行されていったきり、事件について何も知らされていない。
カーシェルと十夜、ふたりの家、カシュー家は、主上より皇国すべての水源管理を任されている。その水質調査にあやしい点があり、その事件をカーシェルは将族とともに追っていたのだが、不正書類を持っていた人間を拉致して、違法な取り調べを行ってたらしい。
ミヤが聞けば、焦るな、もう一度やり直せ、と言ったに違いない。将棋で、駒を失うことを嫌うミヤ。
茶緒が書類を持っていたか疑っていたのは、不正事件の関係者が首相と関係のある人間であったから。首相は事件前に、退任している。責任を問われることはないだろう。
首相を退任して不利益を得た人間が不正をしたのなら、首相を退任させた側にも責任がある、とミヤが考えそうだ。
新聞の中での扱いは小さい。この事件の続報は今後ないだろう。
御所の噂は、カーシェルから、婚約者の茶緒へ、そして今は。
リーナは新聞を自分の右側に片付ける。
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