淡き日の山田苑

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 僕はいつの間にか、週に一度は山田苑に通うようになっていた。プロジェクトの山は越えたとはいえ、まだまだ忙しいことには変わりなく、総じて帰りは遅い。普段は節約のため自炊しているのだが、疲れてどうしても帰宅後に料理をしたくない時もあって、そういう時に山田苑を重宝していた。  山田苑のメニューには、いつしか豆乳鍋がラインナップされていた。主婦だけでなく独り身サラリーマンの強い味方でもあるクックパッド先生で検索してみると、豆板醤や甜麺醤を加えた中華風豆乳鍋というものもあるようだ。一方、山田苑の豆乳鍋は白だしベースだった。しかし、恵子ちゃんにかかれば、 「ここ一応中華料理屋なので、シメは中華麺です」 という理論が成り立つのである。ちなみに、本当はうどんの方が好きなのだそうだ。
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