別の日の山田苑

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 その日、恵子ちゃんは早々に「CLOSE」の札を提げた。  自慢じゃないが、僕はゴッドイーターという狩りゲーが大好きで、それなりの腕前を持っていると思っている。話の流れで、恵子ちゃんも同ゲームのプレイヤーであることが判明し、一緒にプレイしようということで店じまいと相成ったのだ。なんと自由な人だろう。  ちなみにゴッドイーターがどんなゲームかというと、モンスターハンターみたいなゲームと言えばわかりやすいと思う。 「学生のころ、みんな集まってなにやってるかっているとモンハンばっかりだったんですよ。流行りに乗せられたみたいで嫌じゃないですか。だからゴッドイーター買ったんです」  これは僕と同じだった。そして、おかげで一緒に遊んでくれる人が誰もいなかったという境遇も同じだった。僕たちはテーブル席に向かい合って座り、協力プレイがコンセプトのゲームで初めて協力プレイをすることができたのだが、何度も味方に後ろから撃たれ、吹っ飛ばされる結果に終わった。曰く、 「射線上に立つのが悪い」 とのことだ。  やがて、狩りに疲れた恵子ちゃんは、店内のテレビでキンダムハーツを始めた。チップとデールが出るたびに、かわいいかわいいと目を輝かせていた。おかげでゲームのストーリーはちっとも進んでいなかった。
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