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景子は、あの夜遅くアパートへやって来て、開口一番「私を抱いて」と言った。
大いに戸惑ったが、柔らかくしなやかな身が腕の中へ収まった瞬間、欲望が目をさまし、彼女をその場で組み敷いた。
景子の身体は火照っていた。首筋や胸元には紅い徴が付いていて、一体誰に付けられたのかと訊ねる暇さえない程に、まるで溺れる者が藁にすがるように史を求めてきた。
求められるまま景子の中へと侵入した途端、締め付けられ、快感に我を忘れて目の前の身体を貪った。
景子も史にしがみついたまま甘い声で啼いた。
何度も交わった後、景子は史の胸から顔をあげてきっぱりと言った。
「亮介君が好きなの」
その瞳は今までになく強く輝いていた。
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