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神という存在は、星の数いる。
いや、明確には一つの惑星だけで3桁を超える神がいるかもしれない。
神にも階位が存在し、全ての世界の創造主たる神を最上位に、一つの惑星の一つの大陸の一つの地域に限られた神を最下位とされている。
小さな島国「日本」にある古びた神社に祀られた名もなき神は、実に平凡な毎日を送っていた。
星の山神社と呼ばれる地にて、参拝に来る人々に少しの恩恵を与えるだけの毎日。
そんな毎日だったが、知り合いの神達からは好色家と名高い星の山神社の神にとって、珍客が訪れた。
田舎のボロ神社に来る参拝者など、老人達が殆どなのだが、その珍客はまだ成人もしていない「せいらあふく」と呼ばれる衣類を身につけた少女だった。
神に性別など存在しない説があるが、男性が好きか、女性が好きかで自身をその対なる性別に定めることはそう珍しくはない。
星の山神社の神も例外なく自身を男と定め、特に若い女性を好んでいた。
「美しい…」
社が窮屈だった星の山神社の神は、屋根の裾で足をぶらぶらさせながら参拝に来た珍客に目を奪われる。
腰の長さまである黒髪と、くりっとした黒い双眸は大和撫子と称しても相違ない容姿だった。
「最近の若者は自分の生まれ出でた恩恵ある容姿を無理やり着飾るが…」
化粧や髪染めをしていないのも高ポイント。品定めをするように顎に手を当て、眼下で手を合わせる少女を眺める。
純潔なオーラを身に纏い、穢れを知らない無垢な魂。
その存在に見染められ、有りもしない心臓の動悸が高鳴る感覚を認めると、胸を押さえつけ恍惚の表情で、
「ふむ…。これが恋…というものか」
知らぬうちに星の山神社の神は、少女に夢中になっていった。
邪気に当てられないよう、他の参拝者の実に数百倍の恩恵を押し付けた神は、腕を組み満足なご様子。
その様子を遥か高みから見下ろすのは、2体の神。
「あいつ、やっぱ変わってるわいな」
「そうね。子供達にあそこまで一喜一憂するなんて神種の風上にも置けないわ。」
揃って盛大なため息を漏らす。
「なぁ、あいつ。なんで最下位に止まってるわい?」
「実力としては、複数の惑星を直属におけるほどの階位があっても不思議じゃないわね」
「…やっぱ変わってるわいな」
呆れたような、生暖かい様な目線を向ける2体の神。
それを知ってか知らずか、星の山神社の神はフフンと得意げに少女を眼下に据えて鼻を鳴らすのだった。
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